【相談内容】「私、声が詰まるんです。大きい声を出せるようになりたい。」

心理カウンセラーの田山です。
私の話し方のレッスンにいらした方で「私、声が詰まるんです。大きい声をだせるようになりたい。」という方がいらっしゃいました。
その方は本当に話すボリュームが小さく、聞き取るのも困難なくらい。
そして滑舌はそんなに悪くないのですが、話そうとする際に確かに声が詰まる、言葉に詰まってしまう。
お話を聞いていくと、根深い原因が見えてきたんです。

来られた理由を伺ったところ、最初は「仕事に活かしたい」とのことでした。
しかし何か様子が変だった。
もう少し踏み込んでお話を伺っていったところ、深刻な悩みが隠れていたんです。

実はそのお方、ご家庭でご主人から毎日のように「声がうるさい!静かに話せ!」と結婚当初から言われ続けてきたようでした。
最初はもっと声を綺麗にして、小さくても話せるようにするために私の所に来ようと思っていたようでしたが、来る直前に友人から「それ以上声小さくする必要ある?」と言われ疑問に思いながらも相談内容を変えたようです。
そのお方のご主人は物音にも敏感なようで、とにかく音を立てられない生活を毎日送っていたのです。
声や言葉の詰まりも、ご主人への恐れが原因とみてまず間違いはないでしょう。

もうこうなると、ただ単に発声の練習をしたって意味はありません。
大きな声が出せるようになってしまったら、余計夫婦関係も悪くなります。

そこでまず私はこうお伝えしました。

「あなたの声はとてもお綺麗です。決して耳障りな声ではないですよ。だからそれ以上声を小さくする必要もありません。今必要なのは声を改善するよりもご主人との意思疎通かもしれません。」と。

家庭の中は独特な世界になりやすいです。
他の家庭事情とか知っていますか?
よくよその夫婦のルールや日常を聞いてビックリすることってあるでしょ?
そんな風に「家庭」というところには独特なルールが存在していることが多いです。
それでいてその家庭の当人たちはそれが当たり前と思ってしまう事が何より怖いところなんです。一種の洗脳状態ですね。

ご相談にいらした方は、まず家庭の状況が異常であるということを知ることができ、自分の声は耳障りでもなく、現状十分に声が小さく、むしろもっと声を出していく方向に向かって良いことに気が付けたようで、とても明るい顔をされてその日は帰られました。

その後は月に2回ほどのペースで私の所に通い、心理的教育とコミュニケーションの方法を一緒に練習し、ご主人との関係も改善していったようです。
その後、ヴォイストレーニングも取り入れ、抑圧されていた声のボリュームも改善していき、夫婦関係も改善していったことにより、言葉の詰まりも自然と消えていきました。

声や話し方に限らず、手の震えや、頭が真っ白になるなど、症状を直接抑えようとする対処法ももちろんありますが、それは一時の気休めにしかなりません。
根本的に直していくためには、案外、症状以外に目を向け、そちらを改善していく対応をとった方が、結果トータル的に良くなることが多いです。

悩みって一人で考えていても全体像が見えにくいんです。
客観的に人に見てもらうことが大切です。
それは友達でもいいし、私でもいい。
とにかく自分の思っていた「常識」が果たして、本当に「世の常識」なのかを知ることをしてほしい。

それを知るだけでもかなり心が軽くなりますよ。

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