カウンセラーの田山です。
今回は「不安」についてのお話しを少ししようかなと思います。いつもどうしようもできない不安に襲われ、この不安を消したいけどどうしたらいいか分からない、そんな方のための不安との向き合い方、考え方を心理学の視点から解説します。
|不安にも目的がある
アドラー心理学では、人間の精神活動にはすべて目的があると考えます。不安にも当然目的があって、不要なものではないんですね。その感情は必要なものなんです。
例えば不安というのは、未来に対する「予期不安」というものがほとんどといわれていますが、この不安という要素がなければ未来に対して私たちは備えることができません。備えることができなければ最悪の場合、生死にかかわるかもしれない。
だから不安があるというのは、OKなことだということをまずは理解したいです。煩わしく感じて自分を苦しめる存在に思ってしまいますが、非常に役に立ってるんですね。
|不安は消えない
まず大前提として結論を先に言いますと、不安という感情だけをごっそりなくすことはできないと考えた方が便利です。
物理学にはエネルギー保存の法則というのがあります。あるエネルギーはなくなることなく、形を変えて存在し続け、全体の総量は常に一定に保たれているという法則ですね。
これが精神活動にも言えるかは定かではありませんが、そのように考えると分かりやすく便利かなと思い、最近この例えを使っています。
例えば不安という感情が全体の80%くらい占めているとして、後の20%はそれ以外の感情とします。不安をごっそり消すとこの80%分がぽっかりと穴が開いてしまいます。その状態はきっとありえないと考えておく。きっと失われた80%の不安感情の分は、残りの20%の感情のうちの何かに姿を変えて、全体は常に100%になるように調整されていると考えるんです。
つまり不安という感情は、姿を変えて常に存在し続けるんです。本質的なエネルギーのようなもの(あるか分からないが)が消失することはないと考えます。
|不安の対処法
前項から考えられることは、不安という感情は不安によって量が増えたり減ったりすると考えるのではなく、もしかしたら不安以外の別の感情が不安を操作しているかのように考えられるのではないかなと思うんです。つまりとても相対的なものなんです。
そこで私がみなさんによくオススメしている、実際にカウンセリングで効果が出ている不安の解消法を簡単にご紹介しますね。
- 不安に注目しない
- 不安の目的やメリットを考える
- 安心を増やす
解説しますと、「不安に注目しない」というのはまず不安自体を操作しようとしない、不安の中身をあまり考えないということです。
不安の中にダイブしても、あるのは不安だけで不安が増すだけです。
なので「不安に注目しない」をして、目的やメリットなど、外側にあるプラスの要素を探していきます。そうすることで自分がどうしたいか、何から自分を守ろうとしているかが分かってくると思います。
それをだんだんと理解してきたら、最後は「安心を増やす」ことを考えていきます。
ここでは便宜上「安心」と書きましたが、置き換えるのはプラスの感情なら「喜び」や「ワクワク」など何でもいいかもしれません。
いずれにせよ、ドキドキをワクワクへ、ソワソワを安心へ変えていく作業をしましょう。
感情が切り替わっていけば、自然と不安のパーセンテージは減っていきます。
具体的には例えば、予測できるポジティブな未来パターンを考えていく、自分が思うネガティブな捉え方ではなくポジティブな解釈を探していく、悪いエピソードの中の「良かった」を探していく、できる準備は全てする、最悪の事態が起きたらどうするか考えるなど…。
色々方法はありますが、直接不安を見るのではなく、それ以外の部分に注目して、そこを増やすお稽古をしていくと不安への対処が上手になってきます。
|まとめ
いかがでしたでしょうか?
それでも解決しない不安は、場合によりカウンセリングや心理療法が必要になってくるかもしれません。
そんな時は一人で抱え込まず、ぜひ一度ご相談いただければ嬉しいです。