今回のテーマは「無視してくる人の心理と対処法」です。
無視されている状態では何も前に進みませんね。何とかその状況を打開するための考え方をアドラー心理学のお話しを交えながら解説していきます。
まずアドラー心理学の前提のお話を少ししますね。
アドラー心理学では、思考・行動・感情などは何かの原因があって起きるものではなくて、自分がかなえたい目的のために自ら作り出すものと考えます。
例えば「腹が立って相手を怒鳴った」というシチュエーションがあったとします。これは一般的に考えますと、相手が自分の気に入らないことを言ったりしたことによって「怒り」という感情が起こって、相手を怒鳴らざるをえない状況になったと考えると思うんですが、アドラー心理学は違うんです。
相手の言動を受け、自分がある種の不利な状況、劣等を感じる状況に陥り、それを打開し相手を自分の思い描く状況に操作するために、この人の場合は「怒り」という感情を作り出し、怒鳴り、相手を怖がらせ、操作しようとしたと考えます。
なので自分が取った「腹が立って相手を怒鳴った」という行為は、相手の言動と関係があると言えばあるんですが、ないと思えばないんです。
相手が自分の気に入らない言動をしたとしても、それに対してどのような対応をするかは自分が主体的に選択し、決めることができるんです。だからお互いに影響はし合うんですが、行為の分岐点はそれぞれにあるんです。
腹を立て、怒鳴るかどうかは相手の選択次第で、そこに必然的な因果関係はないと考えます。
以上のことを踏まえて、無視をしてくる人の心理と対処法を考えていきましょう。
|無視をしてくる人の目的
アドラー心理学は原因ではなく目的を考え、「この人は私の何が原因で無視をしているのか」ではなく、「この人は私に何をさせるために無視をしているのか」と考えたいんです。
この目的の部分は人それぞれなのでこの場で特定することはできませんが、無視をしてくる人はひとまず何か成し遂げたい目標や目的があるのです。
それは例えば無視をすることで相手を傷つけたかったり、謝ってもらいたかったり、何かをしてほしかったりと、シチュエーションにより様々なことが考えられますので、個々のケースごとに考える必要があります。
そしてこの「無視をする」という行為、もちろん人によっては「無視」でないことも多々あります。
相手に何かしてもらうために使う手段というのは、その人が幼い頃から慣れ親しんできた方法を使うことが多い。ある人は「怒鳴る」かもしれないし、ある人は「泣く」かもしれないし、ある人は「無視」なのです。
いずれにしても、その人にとって多くの成功を積んできた方法、表現なんです。
|対処法①課題を分離する
無視をされると原因を自分の中に探し求めてしまいがちになると思います。
原因がわかり切っているものはすぐ解決できるかもしれませんが、考えても思い当たらないものは一度考えるのをやめ、課題を分離しましょう。
確かに人間関係はお互いがお互いに影響し合いますから、きっと自分も相手にとっては具合のよろしくないことをしているのは認めなきゃなりません。
ただそれを認めたとしても、自分の取った、相手にとって具合のよろしくないであろう行為に対する相手のリアクションは、相手の選択次第です。
そこは自分にはどうしようもできませんね。「無視は嫌だから泣く方法でお願い」とは言えませんし、言ったとしても「何であなたに決められなきゃならないの」となるのが関の山です。
だから相手の「無視をする」という選択は、自分の行為の結果なのではなくて、相手の選択の結果と割り切り、そこを自分とあまり関連づけないようにしましょう。
|対処法②相手の目的を考える
問題になりやすい態度のパターンをアドラー心理学では4つくらいに分けているんです。
注目関心、権力争い、復讐、無能力の誇示
1つ目の注目関心ってのは、自分の行為によって相手に注目してほしい、かまって欲しいなど、比較的深刻ではない状況で、この目的のもと無視をされていたのならあまりイライラはしないかもしれません。
2つ目の権力争いは、例えばお互いに言い合いになってどちらが正しいかとか、どちらが間違っているなど、勝ち負けや上下をお互いが譲らず、優劣を争っている状況です。この目的のもと無視をしてきているなら、こちらは大分イライラしているかもしれません。
3つ目の復讐は、2つ目の権力争いに決着がつき、どちらかが負けて劣等の位置に突き落とされますね。そうなると真っ正面からではない向き合い方で相手に勝とうとするんです。それが復讐です。口喧嘩では勝てないから、じゃあせめて嫌な気分にさせてやろうとなるわけです。この目的のもと無視をしてきているなら、こちらとしては後味の悪い、嫌な感じが胸の部分に残ることでしょう。
4つ目の無能力の誇示は、ほぼ該当しないと思われるのと、該当したとしても解決は専門家じゃないと難しいと思われます。なので一旦この項目の解説は別の機会にでもできればと思います。
以上、主に上から3つくらいの中で、今置かれている状況の全体の文脈を考えてどれが当てはまりそうですかね?
それによって対処行動は変わってきます。
|対処法③目的に合わせた質問
目的が何となく掴めてきたら確かめてみてもいいかもしれません。
人間は言葉がありますから、こちらはしっかり言葉によるコミュニケーションを取っていきたいです。
注目関心で無視をしてそうなら、「ひょっとして気にかけて欲しいのかな?」と言ってみる。
権力争いで無視をしてそうなら、「もしかして私が間違ってると言いたいのかな?」と言ってみる。
復讐のために無視をしてそうなら、「ひょっとして何か仕返しをしたいのかな?」と聞いてみるのもいいかもしれません。
それでもなお相手は無視をし続けるかもしれませんが、ひとまずはこちらから歩み寄り、推量してみるのが解決への近道にもなります。
|対処法④無視に注目しない
これは個人的な意見になりますが、「無視」という行為はあまり関心ならないです。
というのも先ほど言いましたが、人には言葉があります。何か人に伝えたいことがあるならしっかりと言葉で伝えたほうが、より建設的で協力的だと思うんです。
態度でもって人を操作しようとするのは小さい子どもがしていることと変わりません。相手に察することをさせ、自分が得たい結果を与えさせる、幼いコミュニケーションだと思うんですね。
それにどう対応すればいいかと言えば、まずは「無視に注目しない」ということです。対処法③で質問したにも関わらず特に反応がないなら、いずれにせよ相手は「無視」によって何かしらこちらに影響を与えようと思っていますから、無視に反応しない、注目しないことが大切です。
反応・注目しないと言っても、無視とは違います。こちらもやれば相手と同じことですからね。そうではなく、自分はいたって普通に挨拶もすれば声もかけるし、気にもかける。普段通りに接してみるんです。いつもと違う点は相手からの反応が返ってこないくらい。
それを続けていたらおそらく無視は効果が出ないと理解して、他の方法に切り替えるか、そのまま無視をし続けるか、どうなるかは分かりませんが、進展はあるかもしれません。
|まとめ
いかがでしたでしょうか。
人によって状況は様々と思います。今回ご紹介した方法は一部でしかありません。問題の起きている2人の関係や環境、状況などにより、どう解決を目指していったらいいかは本当にケースバイケースです。
いずれにせよ、無視をする方もされる方も幸せなものではありませんね。一刻も早く抜け出し、協力し合いながら前に進んでいけることを何より願います。
分からないことあればぜひご相談くださいね。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。